アップルは10日(米現地時間)、忘れ物トラッカーAirTagによる「望まざる追跡」(ストーカーによる悪用など)を減らすため、今後アップデートを行っていくことを発表しました。いくつかの変更点があり、何段階かに分けて実施されます。
本来AirTagは自分の持ち物につけて見つけやすくするための製品ですが、最近は他人の持ち物に忍びこませるストーキング行為や、自動車泥棒に悪用されるといった報道が相次いでいました。先月もモデルの女性が約5時間にわたって追跡されたと証言し、家庭内暴力に使おうとした男性が逮捕されたばかりです。
まずアップルはAirTag関連の要求につき「法執行機関と積極的に協力」してきたと認めています。そこでは「AirTagが悪用される事例は稀です」としつつ「それぞれの事例はあまりにも多すぎる」としています。
さらに全てのAirTagには一意のシリアル番号があり、AppleIDに関連付けられていること。そして法執行機関と協力して犯人を突き止めることに成功したとも強調しています。悪用すれば確実に悪事の露見につながる、と警鐘を鳴らしているのかもしれません。
またAirTagと「探す」ネットワークにつき、法執行機関向けの文書を更新する予定とのことです。
そう前置きした上で、アップルが今後予定しているAirTag関連の更新は次の通りです。
AirTagの設定中に新たなプライバシーに関する警告
AirTagセットアップ中に、本製品は自分の持ち物を追跡するためのものであり、同意なしに人を追跡するのは世界中の多くの地域で犯罪であることを「明確に示す」新たなメッセージが表示されるとのことです。また警告メッセージでは、法執行機関がAirTagの所有者に関する識別情報(Apple ID)を要求できることも強調されるそうです。
警告の改善
自分の近くで見知らぬ「探す」対応アクセサリが検出された場合に、iPhone上に表示される通知が大幅に改善されるとのことです。これまでは「不明なアクセサリが検出されました」という漠然とした警告が表示されるだけでしたが、より具体的な表示に改められる模様です。
またAirPodsシリーズやサードパーティ製の「探す」対応製品が近くにあった場合も「不明なアクセサリ」通知が表示されていましたが、今後はより正確にアクセサリーが特定されるそうです。たとえば未知のAirPods Proが見つかった場合は「AirPods Proが検出されました」と明記されるというぐあいです。
「正確な場所を見つける」のアップデート
上記の警告メッセージが表示された場合、未知のAirTagの位置を特定するために「正確な場所を見つける」(Precision Finding)機能が使えるようになるとのことです。この機能は現在、自分のApple IDに紐付けられているAirTagを探すことにしか使えませんが、今後は身近に見つかった誰かのAirTagの距離や方向まで正確に特定できるようになるそうです。
本機能は本来の「正確な場所を見つける」機能と同じく、iPhone 11、iPhone 12およびiPhone 13(いずれもU1チップ内蔵)ユーザーのみが利用できます。
AirTagサウンドの改善
現在AirTagは持ち主の元を離れてから8~24時間の間でランダムに音を鳴らして存在を知らせますが、それが強化されるというアップデートです。
すなわちAirTagが自動的に音を鳴らした場合は、近くにいるiPhoneにも警告を表示するようになるとのことです。さらに警告を受けたユーザーは音を再び鳴らしたり、「正確な場所を見つける」機能を使うなどが可能になるそうです。アップルは「AirTagが聞き取りにくい場所にある場合や、AirTagのスピーカーが改ざんされている場合などに役立つ」と説明しています。
「望まない追跡」アラート機能の改善
今後は「不明なアクセサリが検出されました」システムを更新し、「未知のAirTagまたは「探す」対応アクセサリが一緒に移動している可能性があることを、より早くユーザーに通知する」ようにするとのことです。
アップルはAirTagに競合他社の製品よりも多くのストーカー対策システムを組み込んではいますが、犯罪者はメーカーの想定を超えた悪用方法を考えつくもの。よりいっそうの安全強化を期待したいところです。
Source:Apple
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