連邦判事は本日(原文掲載日は9月10日)、Epic Gamesが提訴したAppleの独占禁止法(反トラスト法)における訴訟の判決においてAppleに規約を変更し、開発者がアプリ内で代替決済システムを使用できるようにすることを命じた。
この差し止め命令により、ゲームやアプリのメーカーは、Appleが10年以上にわたってApp Storeに課している30%の手数料を回避することができるようになった。この手数料はAppleに年間数十億ドルをもたらしている。
カリフォルニア州オークランドにある米国地方裁判所のイボンヌ・ゴンザレス・ロジャース判事による判決文は185ページにも及んだ。彼女はAppleがカリフォルニア州の独占禁止法に違反しているという判決を下している。しかしこの複雑な独占禁止法の訴訟において、他の重要な項目についてはAppleを支持する判決が下されている。
例えば、EpicがFortniteのプレイヤーに対して代替可能な決済を用意したことに起因する、契約違反の申し立てについてはAppleを支持している。2020年8月、EpicはFortniteを「ホットフィックス(訳註:緊急措置的な修復更新)」という方法でアップデートし、ウェブでの支払いを可能にしてしまった。これによりAppleはFortniteをApp Storeから削除し、Epicは不正競争防止法に基づく訴訟を起こしたのだ。
同様の対立はGoogleとの間でも起こり、EpicのGoogleに対する独占禁止訴訟は現在も係争中となっている。EpicとAppleは、900以上の証拠品とEpic GamesのCEOであるTim Sweeney氏やAppleのCEOであるTim Cook氏などの証言をもとに、16日間の裁判で判事に主張を行った。
この事件はプラットフォームの所有者と強力なゲーム会社という、重要な対立であり、巨大なハイテク企業やゲーム会社がひしめき合う時代に、関与と競争のルールを決める可能性があるということで注目されていた。
とにかく大金がかかっているのだ。
2008年にAppleがApp Storeを立ち上げた際、アプリ内課金に対して30%の手数料を設定した。Appleは、App StoreとiPhoneへの投資を引き合いにこの手数料を得ていたわけだが、Epicはこの手数料が事実上、ゲーム業界から何十億ドルも吸い上げる税金となっており、削減されるべきであると主張したのだ。ちなみにEpicの自社ストアであるEpic Games Storeでは、12%の手数料を取っている。Appleはこの手数料が継続的な運営コストのために必要だと考えているのだが、Epicは裁判でAppleが手数料から多くの利益を得ているという証拠を提示している。これに対しAppleは、実際の利益は計算できないとした。そして裁判所はそれを信用できないと判断したのだ。
裁判官はEpic側の専門家であるNed Barnes氏が、AppleのApp Storeにおける営業利益率が75%以上であると試算したことを指摘している。EpicはAppleの手数料は、自動車ディーラーが車の販売時に手数料を取り、誰かが車にガソリンを入れるたびにさらに手数料を取るようなものだと主張している。
次につづく:Appleに下された命令
【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】
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