幼心をくすぐるガジェ感:携帯電話「Zanco Smart Pen」ハンズオン

huaweiwearabless 23/04/2022 820

いかにもなガジェット感…!

ペンのような見た目ながら、その正体は多機能な携帯電話というZini MobilesのZanco Smart Pen(略称S-Pen)。ガジェガジェしい見た目に惹かれますが、ガジェットとしての真価はどうなのか? 米GizmodoのSam Rutherford記者が試してみました。


Zanco S-Penは実際にはペンではないし、ギリギリ電話と言える程度のシロモノ(それほどスマートでもありません)。でも、もし『ホーム・アローン』のケビンが90年代ではなく今の時代に泥棒たちから自宅を守ろうとするなら、このペン型デバイスは間違いなく彼の手持ちアイテムの中でも主戦力になりそう…!それにS-Penのおかしなギミックは、わずか60ドル(日本価格約6,500円)という価格に見合っていますからね。

S-Penは5セント硬貨の棒金よりも小さくかなり軽量。それにしては機能の一覧は見るだけでも圧倒されるほど。背面カメラとフロントカメラ、1インチの画面、SIMにmicroSDのカードスロット、さらにはスマートフォンとペアリングできるようBluetoothを搭載しています。特にBluetoothは絶対に欠かせません。60ドルのS-Penのために、手元のスマートフォンからSIMカードを引っこ抜くなんてバカぐらいのもんです。

幼心をくすぐるガジェ感:携帯電話「Zanco Smart Pen」ハンズオン

Zanco S-PenはGSMに対応しているものの、典型的な4G/LTEの速度や接続性に近いものは得られません。ですがBluetoothでスマートフォンと連携できるので、まぁまぁの音質でスマートフォン経由の通話をすることができます。そのためS-Penは、お手頃価格でジェームズ・ボンド(もしくはMr.ビーン)ごっこをしたい人にとっては、完璧なデバイスなのかも。

他にも隠し機能が搭載されてなければ、Zanco S-PenはMI6のQにふさわしいガジェットとは言えませんよね。安心してください、レーザーポインターが要るなら、0キーを押せば赤いドットを照射できます。会話を録音したいときも、S-Penの出番です。ただ、S-PenのUIに慣れる時間をちゃんと取る必要がありますよ。この製品のインターフェイスは、タッチスクリーンが登場する遥か前の時代からタイムスリップしてきたようなものですから。

写真を撮る際、S-Penの1インチの画面でプレビューを確認するのはおかしな感じですが、私はそれがちゃんと機能していることになんだか感心してしまいました。 猫をからかったり、教鞭をとったりする時のためにZanco S-Penにはレーザーポインターが内蔵されています。 慎重に扱ったにもかかわらず、Zanco S-Penのスタイラス用ペン先はめちゃめちゃ外れやすくて落としてしまいます。 この安さにしては、Zanco S-Penのボタンの押し心地はまあまあ。背面にあるスピーカーは音楽の再生や、電話をかける際の受話器として使えます。 やはりZanco S-Penの一番の使い道は、手持ちのスマートフォンのコンパニオン端末として使うことですね。

Zanco S-Penの1インチスクリーンの解像度は哀れにも80 x 160なので、設定画面で表示されるのは各行に1、2単語のみで、残りのテキストが画面上に徐々に表示されるまでのんびりとスクロールを待つ必要があります。アラームをかけるためのオプション、Magic Voiceと言う未だに何なのか想像もつかない機能(ボイスチェンジャーかも)、メールなどもありますが、T9の文字入力方式ではひと単語ですら打つのが面倒くさそう…。

本当に笑えてくるのは、30万画素のカメラで写真を撮ろうとしたとき。Zanco S-Penの小さな画面を最大限に活用しようという思惑なのか、デフォルトだと80 x 160の写真を撮る設定になっています。でも画像サイズは解像度640 x480まで上げることができるので、この設定は必須。悲しいかな、S-Penには画像を記憶しておく空き容量なんてないし、私が試したmicroSDカードは3枚全部が認識されなかったので、S-Penから写真を取り出せませんでした。何が問題なのかメーカーに問い合わせてみましたが、私が試したmicroSDカードはどれも比較的新しい型の64GBモデルだったことが一因ではないかと疑っています。

おかしな話ですが、名称に「pen/ペン」とあるにもかかわらず、Zanco S-Penは書くことができません。S-Penの先端にはゴム製の小さなペン先があるので、iPadなどのスタイラスとして使えます。しかしながら、同僚たちに見せびらかして過ごした最初の10分の間に、そのペン先は25回ほど落ちてしまいました。S-Penの箱には替えのペン先が同梱されていないこともあって、イラっとしました。S-Penはスタイラスペンとしては1日ももたないでしょう。

ここまで読んで、Zanco S-Penはガラクタだと言う人もいるかもしれません。たしかにそのとおりです。でもチープで楽しくて比較的お財布に優しい値段のガラクタで、珍しいものを詰め込んだ6インチの筒型の筐体には、提示価格に見合うだけの奇抜かつ秘密の機能が十分に備わっています。輝かしくて精巧に作られたスマートフォンやタブレットのある今の時代、S-Penのようなアイテムで、ちょっと前まで我慢してた低クオリティなガジェットのことが思い出されます。

Zanco S-PenはKickstarterですでに資金を調達しており、現在は4月から出荷の予定で先行予約を受付中。こういったプロジェクトには出資がされないという可能性は付き物ですが、メーカーのZini mobileが変わり種携帯電話を市場に出したのは今回が初めてではないので、そういった面では他のプロジェクトよりも安心できそうです。

Source: Kickstarter, YouTube, worldssmallestphone