「アサシンクリード」プロデューサーを務めるジェイド・レイモンド氏
敵に見つからず隠密行動し任務を果たす……「メタルギア」シリーズや、「スプリンターセル」シリーズに代表される、スニーク型アクションゲームの持つ、独特の緊張感とスリルがたまらないというゲーマーは多いはず。ユービーアイソフト(株)から今秋リリースされる「アサシンクリード」は、スニーク好きのみならず、アクションゲーム好きにもヒットしそうな非常に熱いタイトルだ。
今回は、東京ゲームショウ 2007に合わせて来日した、同社プロデューサーのジェイド・レイモンド氏(Jade Laymond)氏にアサシンクリードの一幕を見せてもらったのでお伝えする。
十字軍の時代をモチーフにした世界で暗殺業を営む
とりあえず、“アサシンクリードって何だ?”という人のために、ゲームのバックグラウンドを簡単に解説しておこう。舞台は第3次十字軍遠征があった1191年のエルサレムやダマスカス、アッカなどの都市やその周辺地域。プレイヤーが操る暗殺者「アルタイル」は、十字軍側とイスラム勢力側双方の要人暗殺を行なう……というものだ。
街を見下ろす主人公のアルタイル
当時の雰囲気を忠実に再現しているという街並み
加藤(以下、編集部):E3でのトレイラーを見て、多いに期待しているタイトルなんですが、日本でのリリースはいつごろなんでしょう?
レイモンド氏:今年の11月29日にXbox 360版の発売を予定しています(PS3版は今冬発売予定)。このために日本語へのローカライズを早めて作業しております。
実際にデモプレイが行なわれたのは、獅子心王リチャード支配下のアッカの街で、街の実質的統治を行なっているモンフェラート公ウィリアム(William Demontfre)を暗殺するミッションだ。モンフェラート公は実在の人物で、史実でもゲームの舞台となっている1191年に死んでいる。デモは、暗殺に着手するシーンから開始されたが、実際はアルタイルを操って暗殺対象をリサーチすることから始まる。アルタイルは群衆の影に隠れながら、移動するモンフェラート公の後を追跡する。
編集部:通行人や衛兵に近づくと、時々変な模様が出ますが、アレは何を意味するものでしょう?
レイモンド氏:あれはアルタイルがそのキャラクターに“何かアクションをおこせる”ことを示しています。
群集に紛れ込み、通行人と話しながらクエストや手がかりを探していく
編集部:近づくと、時々日本語じゃない言葉を話すキャラがいるのはなぜでしょう?
レイモンド氏:群衆のセリフの一部は日本語化されていますが、十字軍の時代、街にはフランス語やアラブ語など、さまざまな言葉を話す人々がいました。その部分はオリジナルの音声を残してあります。なので、獅子心王リチャードの部下であるNPCは、フランス語で話しているようになっています。
突然、アルタイルは障害物の多い路地を避け、屋根の上に上がって軽快に移動を始める。だが、当然のごとく要所要所には弓を持った衛兵がにらみを利かせている。避けられるものは避けるが、どうしても邪魔なものは飛び道具などで“処理する”しかない。
編集部:倒した衛兵の死体は見つかるんですか?
レイモンド氏:もちろん。死体がほかの衛兵に見つかれば、衛兵はすぐに追いかけてきます。死体がなるべく見つからないように処理することが必要になりますね。できれば、見つからないようにその場からすぐに離れたほうがいいです。高い所にいる邪魔者は下へ“突き落とし”て倒すことも可能ですが、武器の消費を抑えられるかわりに死体が衛兵に見つかりやすくなるリスクが高くなります。
編集部:死体が見つかったら?
レイモンド氏:もし見つかったら見つけた衛兵は速やかに倒さないといけません。時間がたてばその衛兵が仲間をどんどん呼びますからね。
時には衛兵を倒していくことも必要だ
編集部:いろんな所からよじ登っているように見えますが、登れる場所は決まっているのでしょうか?
レイモンド氏:実スケールに直して、3インチ(7.62cm)ほど出っ張っていればつかめるようになっています。「手でつかめそうだな」と思えば、とりあえずつかんでみてください。
そしてデモでは、アルタイルがターゲットの真上から襲いかかるシーンに突入。アルタイルがターゲットの身体をつかみ、刃を滑らす。暗殺終了までほんの数瞬。周囲の衛兵も何が起こったのか、すぐに把握できない様子だ。この後短いカットシーンが挟まり、主人公に新しい情報や動機付けがもたらされるのだが、ほどなくプレイヤーは蜂の巣をつついたような喧騒に包まれる……正気に戻った衛兵が襲いかかってくるからだ!
レイモンド氏:暗殺が終了したら、今度は安全な場所へ逃亡しないといけません。そこらにいる群衆や障害物を盾に巻くのもいいですし、単純にスピードで駆け抜けてしまうのもひとつの手です。追っ手のAIは、常にアルタイルに向かって最短のルートで追跡するようになっています。アルタイルのように壁を自在に登ってくることはできませんが、ダイナミックな追跡劇が堪能できるようになっています。
編集部:何をもって“逃亡成功”になるのでしょう?
レイモンド氏:街のどこかにある暗殺団の本部に行き、報告しないといけません。ですが、いつでも本部に逃げ込めるというわけではなく、完全に追っ手を振りきらないと本部には駆け込めないようになっています。画面左上にアイコンがありますが、追っ手に“見られている”間は赤、追っ手の視線から外れれば黄色になり、黄色の状態で隠れていると次第に白に変化します。とりあえずアイコンが黄色になるまで逃げ回り、それから本部を探す、という流れになりますね。
特に印象的だった逃亡シーンは、一度追っ手の視線を切った状態(アイコン黄)で、街中の高い塔の上から建物のワラの山に飛び込み、ちょっと待った後に何食わぬ顔をして群衆に紛れ込むシーン。まだ街中に警報の鐘の音が鳴り響き、追っ手は抜き身の武器を持って追跡中なのに、平然と歩き出すアルタイルとのコントラストが映画的で面白い。
編集部:視線を切らない状態でワラの中に隠れるとどうなるんでしょう?
レイモンド氏:もちろん隠れた場所を見られていてはダメです。視線を切った状態で隠れて、それから再度見つからないように本部へ移動する必要があります。
ワラの中に飛び込んで逃げるといったアクションも
編集部:街並みのモデリングが非常に細かくなっていますが、これは実際にあったものでしょうか?
レイモンド氏:実際に歴史家の意見なども参考にしながら、できるかぎり忠実に都市を作り上げています。実際の面積に換算すると……だいたい2平方マイル(約5km2)くらいでしょうか。
編集部:そんな広いマップに自由度の高いゲームシステムになると、初心者はまず何をやったらいいかわからなくなりそうですね。
レイモンド氏:もちろん、いきなり広大なマップにいきなり放り出す訳ではなく、最初は制約の少ない「ソロモン寺院」やアサシンの本拠「マシャフ」マップで、ミッションの進め方や街の走り方などを覚えてもらいます。広いマップであっても、GPS機能があるので自分の目標のいる場所はすぐに分かるようになっています。
編集部:ただ標的を倒すだけでなく、その後も考えて行動する戦略性とか、動きやグラフィックには引きこまれるものがあります。リリースが楽しみですね。ありがとうございました!
120分待ちとなっていたマイクロソフトブースのアサシンクリードコーナー
東京ゲームショウ2007では、全世界で初めてプレイアブルな体験台が設置されたアサシンクリード。会場でも人気は高く、18歳以上対象のZ区分ありながら、午前中の時点ですでに120分待ちの行列ができていた。
また、これまで公開されていた情報から、ミッションに沿った一本道のストーリーかと思いきや、今回のインタビューでレイモンド氏が話してくれたように、広い街中を手がかりに沿って、いくつものクエストを見つけていく、いわば箱庭タイプに近いゲームであることが分かり、期待度はさらに増すばかり。
11月29日、いよいよ暗殺者としての第一歩が始まろうとしている。
プラットフォーム | Xbox 360、PS3 |
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プレイ人数 | 1人 |
メディア | DVD-ROM 1枚(Xbox 360)、BD-ROM 1枚(PS3) |
発売日 | 11月29日(Xbox 360)、今冬発売予定(PS3) |
価格 | 7329円(Xbox 360)、未定(PS3) |
対象年齢 | Z区分(Xbox 360)、審査予定(PS3) |
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