中国の通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)は2月8日、アメリカ政府の連邦通信委員会(FCC)を相手取り、ルイジアナ州の第5巡回区控訴裁判所に訴訟を提起した。
ファーウェイは訴状で、FCCが同社を国家安全保障上の脅威に指定したのは「FCCの職務権限を超越し、具体的な証拠の裏付けもなく、アメリカ合衆国憲法に違反している」と主張。FCCの判断の見直しを求めている。
同社がFCCに対して訴訟を起こしたのは、実は今回が二度目だ。2019年11月、FCCは国家安全の保護を理由に、アメリカ企業が連邦政府の補助金を利用してファーウェイおよび中興通訊(ZTE)から通信機器やサービスを購入するのを禁止すると決定した。
これに対してファーウェイは2019年12月、FCCの決定が合衆国憲法や連邦行政手続法などに違反していると主張して提訴した。一度目の訴訟の審理は現在もまだ継続中だ。
アメリカ政府に対する法廷闘争を一貫して継続
その後、FCCはファーウェイの排除をさらに強化。2020年12月、アメリカの通信事業者がすでに導入済みのファーウェイ製とZTE製の通信設備を撤去・交換するために、少なくとも16億ドル(約1676億円)の予算を投じることを決めた。二度目の訴訟は、この決定に対するファーウェイの対抗措置である。
アメリカ政府の制裁がエスカレートするなか、ファーウェイは一貫して法廷闘争を継続してきた。最初の訴訟は2019年3月、アメリカ政府の2019会計年度の国防権限法に、政府機関によるファーウェイの通信機器やサービスの調達制限が盛り込まれたのを不服として提訴した。
しかし2カ月後の2019年5月、アメリカ商務省はファーウェイをエンティティー・リスト(訳注:安全保障や外交政策上の利益に反すると判断された企業等のリスト)に追加。事実上の禁輸制裁を発動した。さらに2020年2月、ファーウェイは国防権限法の訴訟で敗訴し、アメリカ政府の調達制限を覆すことはできなかった。
本記事は「財新」の提供記事ですとはいえ、法廷闘争がすべて徒労に終わったわけではない。ファーウェイは2019年6月、アメリカの研究所でテストした通信設備を中国に送り返す際に、商務省の下部機関が輸出検査の名目でその設備を差し押さえたのは違法だとして提訴。その後、アメリカ政府は設備の返還に応じ、ファーウェイは訴訟を取り下げた。
(財新記者:張而弛)※原文の配信は2月10日
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