シナリオ開始時の時代逆行演出。時代ごとに登場する車両などが異なる
アートディンクが2021年3月12日に発売した、Nintendo Switch専用ソフト『A列車で行こう はじまる観光計画』。本作は鉄道会社の社長となり、鉄道や道路を敷いて都市の交通網を整備していくシミュレーションゲームとなる。
シリーズとしては35周年にもなる長寿タイトルであり、また本格的な鉄道会社経営が楽しめるため、鉄道ファンをはじめとするファンから長い間支持されてきた。
今回は、そんな「A列車で行こう」最新作を、シリーズに初めて触れるユーザーの目線からレビューしていこうと思う。
なお、本作の価格はパッケージ版/ダウンロード版ともに7678円。店頭のほか、ニンテンドーeショップでも発売中だ。最初のチュートリアルシナリオ「はじまる観光計画」が遊べる体験版も配信中となっている。
●ゲームの基本は「交通網を整備」と「人を動かす」こと
本作ではタイトルの通り「観光」がメインで、いかに鉄道や道路を敷いて人を動かしていくかがポイントとなる。そのために、人の集まっている栄えた場所と、観光資源のある場所をつなげて、人の流れが回るようにしていかなければならない。
シナリオごとに異なる目標が設定されており、目標達成のため、あの手この手で工夫していくのがとても楽しい。
最初のシナリオ「はじまる観光計画」での目的は、年間観光客を20万人以上にすることと、街の人口を2万人以上に増やすこと
まずは栄えている街から線路を延ばしていき、那賀代城という観光名所へ人を連れていこう
列車のダイヤを細かく設定することも可能。深夜は乗客が減るので休ませる。24時間走らせ続けることも可能だが、普通は赤字まっしぐらだ
線路をつないで人を運び、時間が経過すると、少しずつ建物が増えて街が発展していくのがわかる。それを眺めるのが本作の醍醐味の一つであると感じた。
2番目のシナリオ「夢と希望の街」にて、街の西部に設けた駅周辺の様子(Before)。農村として家が集まっている辺りに駅を設置し、線路で隣町と接続している
街の西部に設けた駅周辺の様子(After)。駅前のバスターミナル、動物園、電気店(家電量販店)を中心に人が集まり、とくに駅の北側の発展がめざましい
街の中央にある遊園地(イベリアランド)周辺の様子(Before)。バス停の周辺を環状の道路にして渋滞回避を試みた。工事中のところは、子会社としてマンションを配備する途上だ
街の中央にある遊園地(イベリアランド)周辺の様子(After)。バス停だけでなく列車の駅も設置し、名実ともに街の中心部となった。次々とマンションが立ち並び、地価はうなぎ上り。夢の国のそばに住居を構えるのはいくつになっても夢のある話だ
走っている列車に乗り込み、車窓から街を眺める視点にすることも可能。人を運ぶだけでなく、見晴らしのいい観光路線なんかを作るのも楽しいかもしれない
●キャラの掛け合いが時代を感じる内容でおもしろい
各シナリオは年代が決まっており、最初に遊ぶ2つのシナリオはどちらも1990年ごろとなる。キャラの掛け合いはそれを前提としたものとなっており、わかる人にはわかるネタや、時代を感じる懐かしい会話をすることも。
なお、キャラクターデザインは『世界樹の迷宮』などを手がけた日向悠二氏が担当している。残念ながらボイスはついていないものの、キャラクターの表情や語り口はとても豊か。ゲームを円滑に進めるためのアドバイスや、クスッとできる雑談もしてくれて、プレイするほど愛着がわいてくる。
東北新幹線が開業したことを喜ぶ鉄道ファンの車掌さん。全国の列車や路線を制覇する「完乗・完駅」の野望を持ち、早速次の休みに新幹線に乗りに行くと話している
バブルの時代設定のため、今夜はディスコで扇子を振りながらフィーバーしたいと話す営業部長さん。そしてディスコが何なのかわからず着いていこうとする秘書子ちゃん
16ビットゲーム機の購入のため徹夜で並んだことを語る銀行員さん。堅物そうに見えて、新しい物が大好きという性格で親しみを持てる人物だ