Oculus VRが米ロサンゼルスで、現地時間9月23日~25日の間、Oculus Connect 2という開発者向けカンファレンスを開催した。世界から1500人の参加者が集まり、VRに関連する講演を聞きつつ、バーチャルリアリティー(VR)を実現する同社の製品向けの多数最新デモを体験することができた。
24日には、同社CEOのBrendan Iribe氏により、今後の戦略が説明される基調講演があり、多くの重要な発表があった。今回の目玉はコントローラーデバイスの「Oculus Touch」についての新情報だ。最新のデモを筆者が体験した様子と合わせて紹介したい。
会場となった米ロサンゼルスのドルビー・シアター
Oculus製品はローエンドとハイエンドの2種
Oculus VRは2つの製品カテゴリーでVRデバイスを展開しようとしている。スマートフォンを利用してアタッチメントでVRを実現する「Samsung Gear VR」のローエンド製品と、PCでの利用を前提とし、リッチなVR環境を実現するハイエンド製品の「Rift」だ。
Riftにはコントローラーとして、Xbox Oneのゲームコントローラーが付属するが、より自然な操作を実現するOculus Touchという専用コントローラーの発売も予定されている。
基調講演の中で、これまでGear VRは「Innovator Edition」として、199ドルで販売されていたが、正式版は99ドルとなり、11月に発売されることが発表された。対応機種は、サムスンの2015年モデルのGalaxy Note 5/S6/S6 edge/S6 edge+だ。過去のモデルより、22%の軽量化が図られるなど、機能が改善されてており、モバイルVRが一般に普及するのかどうかに注目が集まる。
99ドルと発表になった「Gear VR」
PC用のRiftは2016年1~3月期に発売が予定されており、発売が近づくにつれて期待が高まっている。年末に販売価格と予約が開始される予定だ。
Riftは、2012年に発売された「DK1」(開発者向けキットの1号機という意味)、2014年に発売された「DK2」に続くハードで、一般ユーザー向けに発売される最初のハードだ。内部に2枚の有機ELモニターを持ち、片目1080×1200ピクセルの解像度に、リフレッシュレートは90Hzで、視野角は視界を完全に覆う110度を実現している。
DK2が片目960×1080で、リフレッシュレートが75Hzだったため、性能は大幅に向上している。
ただ、その分、快適に映像を見るために求められるマシンスペックは高い。特にビデオカードがNVIDIA GTX 970もしくはAMD 290以上と、ゲーミングPC相当の性能が必要となる。Oculus VRでは、各PCメーカーに対してOculusが動作するという「Oculus Ready」という認証を行ない、ハードにシールなどを貼るなどして、ユーザーが簡単に認識できるようにする予定だ。PCの価格帯は1000ドル程度のものから動作するようにするという。
発売日に向けて、各社のゲーム開発も進んでいる。アップルのコンテンツ流通システムのApp Storeに近い仕組みを持つRift用の「Oculus Platform」も、発売までには立ち上げることが発表された。
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