ジャンプドリフトをする#90川畑選手(Team TOYO TIRES Drift)のGRスープラ
世界初のプロドリフト競技であるD1グランプリ。その21年目となる今シーズンの最終戦が、D1発祥の地であるエビスサーキット南コースで開催されました。今年1年の総決算となる本大会でのTeam TOYO TIRES Driftの90号車 川畑選手と66号車 藤野選手の姿を追いました。
福島・エビス南コース最後の大会となった
エビス南コースは、2000年にD1グランプリ初開催の地であり、以降今シーズンまで毎年開催されてきました。いわばD1の聖地といえる場所で、さらに名物の最終コーナーでのジャンプドリフトも相まって、日本国内はもちろんのこと、世界のドリフトファンからも愛されてきました。ですが今秋をもって、このコースは閉鎖されることに。その理由は記事の後半でご説明しますが、川畑選手にとってエビス南コースは「選考会で初めてD1ドライバーの権利をとったりと、色々とありますね。やっぱりそういう意味ではお世話になっていますね」、藤野選手も「エビス南は来る度に、走る度に結構クラッシュをしていて。その一方で成績も出ていたので、一番記憶に残っているコースですね。やっとこのコースに慣れたかなというところで、残念なような残念じゃないような(笑)。複雑ですね」と感想を漏らしています。そんなエビス南コースの見納めとなる重要な大会。良い結果を出して来年につなげたいところです。しかし……。
【第5戦・単走】川畑クラッシュ!藤野7位で通過、優勝は横井
この日のエビスサーキットは朝から快晴。最後のエビス南コースでの開催とあって、コロナ禍による50%入場制限によりチケットは完売。朝から多くのファンが最後のエビスラウンドを楽しみに訪れていました。出場選手は27名。そのうち午後の追走トーナメント進出できるのは単走上位16名ですので、まずはその枠に残る必要があります。前日の練習走行や当日の様子から見て、96点台後半に入れば16位に残りそうな雰囲気です。
1本目のジャンプに挑む川畑選手
ウォールにヒットした後、クルマを一端止める川畑選手
右リアタイヤが外に向いているのがわかる
翌日の最終戦に向けて右リアの修理を受けるGRスープラ
ホイールやタイヤサイドの大きな傷から、その衝撃の強さがうかがい知れる
まずは川畑選手の1本目。ここはミスなく96~97点を取っていきたいところ。ジャンプドリフトの侵入タイミングがよろしくなく、着地後のピットウォールに右リアをヒット。なんとここでリタイアになってしまいました。
1本目をジャンプする藤野選手
2本目のフィニッシュラインに向かう藤野選手
藤野選手は1本目、ミスをして91.9と点数は伸びず。ですが2本目に97.58と安全圏に。これにより7位通過が決定しました。
7号車 松井選手(Team RE雨宮 K&N)
77号車 松山選手(FAT FIVE RACING)
その他、TOYO TIRESサポートドライバーに目を向けると、エビス南コースを得意としている7号車 松井選手(Team RE雨宮 K&N)は99.13で2位通過。77号車 松山選手(FAT FIVE RACING)は16番手で通過しました。
70号車 横井選手(NANKANG TIRE DRIFT TEAM D-MAX)
優勝したのはシリーズチャンピオン候補のひとり、70号車 横井選手(NANKANG TIRE DRIFT TEAM D-MAX)。1本目で99.22を叩き出してチャンピオンシップを有利に進めました。「ちょっと完璧な走りじゃなかったんですけれど、点数がけっこう出てよかったです。練習から調子がいい時と悪い時が極端で、ギア比のファイナルを本番直前に変えました。結果的にそれがいい方向に出ました」と語りました。
【第5戦・追走】藤野11位、末永(直)が8年ぶりの優勝!クラッシュでチャンピオン決定
藤野選手のベスト16戦の相手は、今年D1GPにステップアップしてきた79号車 目桑選手(alpinestars LINGLONG G-MEISTER)。今季目桑選手は何度か上位入賞をはたしているだけに気の抜けない相手です。
藤野選手先行の1本目、滑らかな走りをする藤野選手に対して、目桑選手は終始ピッタリ付けて後追いポイント8.5に、DOSSの得点96を加えた104点を獲得。一方、藤野選手は98点の走りを魅せるものの、スタート時にフライングしたとのことで10点減点の88点と、大きな差をつけられてしまいます。
藤野選手の2本目、速さで勝る目桑選手に追い付くことができず、96点の走りに後追いポイントは2点のみ。結果、藤野選手は敗退してしまいました。
シリーズチャンピオン争いに目を向けると、99号車 中村選手(MUGEN PLUS team ALIVE VALINO)と横井選手によるチャンピオン争いは、横井選手がベスト8で敗退する波乱が。中村選手はベスト4進出できればシリーズチャンピオンが決定となります。
その大事なベスト8戦。中村選手先行時に一瞬ドリフトがもどり、再度振り出したところに、横井選手のチームメイトである46号車の末永(正)選手が追突して、押された形となった中村選手が1コーナー正面にクラッシュ。審議の結果、末永選手の走路妨害とプッシングにより反則負けとなり、中村選手の勝利となり、2021年度のシリーズチャンピオンが決定しました。
普通ならここで中村選手はリタイアするのですが、なんとメカニックがマシンを修復! さすがに目桑選手とのベスト4戦で敗退してしまうのですが、それでも3位でこのラウンドを終えました。
優勝しガッツポーズをする9号車 末永直登選手(写真左)
優勝したのは9号車 末永直登選手(LINGLONG TIRE DRIFT Team ORANGE)。自身としては8年ぶりとなる優勝を飾りました。「自分としては75点という走りでした。先行の1本目は頑張ったんですけれど、目桑選手に結構とられていると聞いて、2本目はジャンプの時に目桑選手のクルマの腹下が見えるくらいに近づいて驚きましたが、その後詰めることができたかなと思います」と語りました。
松山選手ベスト16戦の相手は横井選手
松井選手
なおTOYO TIRESサポートドライバーである松井選手は6位、松山選手は16位で第5戦を終えました。