アップルiPhone 12発表イベントにおいて、サプライズ的な──ウワサが少なかった──発表となったのが、画面側のガラスに採用された新技術『セラミックシールド』(Ceramic Shield)です。
これはiPhone 12シリーズ4モデル(無印とmini、ProとPro Max)のすべてに搭載された新技術で、ガラスの傷や衝撃に対する耐久性を高めるもの。アップル側のアピールでは、「iPhone 11世代に比べて、落下に対する耐久性が4倍」と謳います。
iPhoneシリーズは、表面ガラスが割れてもタッチパネルが反応する構造である点も手伝って、いわゆる「ガラスがバキバキ(に割れた)」状態を見ることが比較的多いモデルとなっていましたが、12世代からはそうした悲しみを背負うことが少なくなりそうです。
技術的な詳細に関しては、iPhone 12シリーズの公式ページにおいて、「画面側のガラス表面にナノセラミック結晶を注入した」と紹介。基本的には言葉より受ける印象そのままで、ファインセラミックにより傷や衝撃から保護されると認識して良いもののようです。
ただし技術的なポイントとなったのは、セラミックは透明ではないため、いかに画面用ガラスとしての透過度を保つか、という点。
アップル側は「クリスタルの種類と結晶化の程度をコントロールすることで、高い透明度を維持しながら、セラミックの強度を最大限まで高める特別な調合法を開発」したとアピールします。
アップル側は、「これまで、ほかのどんなスマートフォンにも使われていません。そして、どんなスマートフォンのガラスよりも頑丈です」と、その独自性と耐衝撃性の高さを誇ります。
加えて、ともすれば落下耐久性と相反する微細な傷への耐性に関しても配慮。従来のiPhoneにおいては背面ガラスのみで採用されてきたガラスの傷耐性を高める技術『二重イオン交換プロセス』を、画面側ガラスにも採用したと明らかに。
この技術により、擦り傷、引っかき傷、日々の摩耗からもガラスを保護できる点を謳います。
そしてiPhone 12シリーズでは、落下耐性を高めるために本体設計上での工夫も導入。それは、カバー(外装)とボディのエッジを同じ高さにしたこと。
言い換えれば、従来のiPhoneシリーズの特徴だった(いわゆる)2.5D加工の表面ガラスが廃止され、外装のフレームとガラス面がフラットになったということです。
こうした工夫も合わせたことで、公称の「iPhone 11世代比で本体の耐落下性能4倍アップ」を実現。なお、この4倍という値は(アップルが内部的に測定している)前年モデルとの耐衝撃性比較において、iPhone史上最も大きな向上率でもあるとのこと。
発表会では防水・防じん性能などと合わせて、その耐久性を“Oops Resistant”――意訳すれば「うっかり保護」あたりでしょうか――とアピールする場面もありました。
こうした耐衝撃性への配慮は、iPhone 11シリーズで(ともすれば、それまでのiPhoneのパブリックイメージを覆すかのごとく)力を入れて謳われたポイントですが、iPhone 12世代で、こうした点もさらなる配慮を見せた――そして上位モデルだけでなくシリーズ全機種に導入した――点は、ユーザーにとって非常に嬉しいところ。
ともすれば今年からは「画面がバキバキのiPhone」を見る確率が減少していくことが期待できそうです。
Source:iPhone 12無印/mini公式ページ、iPhone 12Pro/Pro Max公式ページ