2020年のApple Watchに関するニュースとして、実はもっとも大きなものは「Apple Watch SE」(以下、SE)が低価格なだけでなく、機能面でもお得度の高い製品として発表されたことではないだろうか。
もちろん、年次アップデートで高機能、高性能化した「Apple Watch Series 6」(以下、Series 6)は、グローバルのシェアが50%を超えた(2019年のスマートウォッチ市場)お化け製品の正当な後継モデルであるし、昨年3000万本を売り上げたApple Watchの勢いを今後さらに加速させるだろう。
しかし、フィットネスやスポーツで使うスマートウォッチを探しているなら、SEはピッタリの製品だ。各種スポーツに特化した機能性ならばガーミンという別の王様と言えるメーカーがあるが、カジュアルに毎日のパートナーとして付き合うならば、SEがいい。
まずはSeries 6とSEの違いを整理
ではSEはなぜいいのか。Series 6とはどのような違いがあるのか具体的にみていこう。
まず選べるケース素材が異なり、カラーバリエーションも限られている。SEはアルミケースのシルバーとスペースグレー、ゴールドのみだ。また、Series 6のステンレスとチタンモデルはカバーガラスにサファイアが使われているが、SEはアルミケースのみであるためION-Xという処理が施された強化ガラスとなる。
Series 6の目玉機能として搭載された血中酸素ウェルネスセンサーも搭載されていない。内蔵するSiPが封入するCPUも、Series 6のほうが20%高速になるそうだ。健康や日々の体調管理、あるいは体調の異変に気づくといった面で血中酸素ウェルネスセンサーが役立つ場面はあるだろう。医療目的のためのセンサーではないが、ユーザーの健康を見守る役割をSeries 6で強化しようとしているのは明らかだ。
もうひとつ”健康を見守る”という切り口として、watchOS 7で追加された睡眠追跡機能。これは寝ている間にもApple Watchを装着しておく必要はあるが、そうすると”充電はどうするの?”という問題が出てくる。この問題に対しても、Series 6はゼロから100%までが1.5時間、80%までなら1時間という急速充電に対応したことで、入浴中などのちょっとした合間の充電で対応できるようになった。
一方でSEが搭載するエレクトロニクスはSeries 5と同じもの。Apple Watchは必要な機能をひとつのパッケージにまとめたSiPという部品で構成されており、全く同じものが採用されているのだ。ただしディスプレイだけは異なり、常時点灯モードが利用できない。
しかし、言い換えれば違いはその程度。ランニング中に状況を把握しようとパッとみた時に、タイミングよく表示してくれないなどのストレスがないわけではないが、スマートフォンのゲームのようなインタラクティブ性の高いアプリを動かすわけではないことも考えれば、大多数の用途にはSEで十分だろう。
iPhone SEもそうだが、Apple Watch SEはApple Watchが提供している基本的性能・機能をまとめた基準を決める製品と言える。
フィットネス用途ならSEと思う理由
最初の世代が発売されたときは「まさか時計なんだし、毎年のモデルチェンジはないよね」と思っていたのだが、実際には毎年のようにアップデートされている。
では旧製品は歳を重ねるごとに古臭くなるのか? と聞かれれば、実はそうでもない。デュアルコア化されたSeries 3以降ならば基本機能は継続してアップデートされ、ディスプレイサイズや形状が一新されたSeries 4以降ならばどの製品を使っていても十分な満足感が得られているはずだ。
実際、Series 4に搭載されているS4というパッケージは、搭載されるフラッシュメモリ容量などに違いはあるもののパフォーマンスはS5と同じ。もしSeries 4を持っているのであれば、バッテリ容量低下で修理をしなければならないなどの理由がない限り、最新のwatchOS 7でも不満なく使えるだろう。
watchOSの年次アップデートで、毎回、ワークアウト機能が充実し、今回もダンスが追加されたり、あるいは表示する情報やワークアウト後の振り返りで成果を分析する機能などが充実したり、また分析制度も上がってきたりしている。
VO2MAX(最大酸素摂取量)は心肺能力を示すひとつの手法で、体重や筋肉量などでも頻繁にその数字が変化する。厳密に計測条件を揃えて計ることもできるが、Apple Watchは日常的な有酸素運動の履歴(ウォーキングでも構わない)から指標を示し、iPhone上で整理して変化を見せてくれる。
スポーツ向けスマートウォッチではよくある機能だが、Apple Watchはより日常に近い製品ということもあってその変化を感じやすい。筆者の場合、ランに特化してトレーニングしていた頃は60前後の数字が出ていたが、筋力を増強させて体重が増えていくと50程度にまで落ち、さらに筋肉量を増やしていくと50を切ってきた。
「よし測るぞ!」と思わなくとも、毎日のルーティンの中でそうしたバイタルの状態を示す指数が見える化されるのはありがたい。
いずれにしろ、こうした機能はOS側の実装。言い換えれば、最新のwatchOSが動くかどうかがApple Watchの価値とも言える。そうした観点からいうと”CPU能力のみ”でいえばSeries 4、Series 5 、SEは全く同じ能力を備えており、今後、長く一線で活躍してくれると期待できる。
一方、もっと健康志向が強く、アクティブに使いこなすよりも毎日の生活における体調を見守ってほしいならば、新しいセンサーが加わったSeries 6のほうがいいだろう。ケースのカラー、素材バリエーションも豊富だ。
ちなみに新たに投入されたSolo Loopは最高の使い勝手だ。ラン、睡眠、パソコンを使いながら、様々な時にバンドが邪魔だと感じない。SEあるいはSeries 6を購入の際は、第一選択肢にどうぞ。
あなたのプライバシー設定では、このコンテンツをご利用できません。こちらで設定を変更してくださいあなたのプライバシー設定では、このコンテンツをご利用できません。こちらで設定を変更してくださいあなたのプライバシー設定では、このコンテンツをご利用できません。こちらで設定を変更してくださいあなたのプライバシー設定では、このコンテンツをご利用できません。こちらで設定を変更してください