Gartnerは2022年1月19日(米国時間)、2021年の世界半導体売上高の前年比25.1%増の5835億米ドル(速報値)になったと発表した。半導体メーカー別売上高ランキングは、Samsung Electronicsが前年比31.6%増の759億米ドルで、2018年以来初めてIntelから首位を奪還した。 世界半導体売上高が5000億米ドル超となるのは初めてといい、同社リサーチバイスプレジデントを務めるAndrew Norwood氏は「2021年は、世界経済が立ち直るにつれ、半導体のサプライチェーン全体、特に自動車産業で半導体不足が顕在化した。結果、旺盛な需要に加え、物流や原材料の値上げが重なり、半導体の平均販売価格(ASP)が上昇。2021年の全体の売上増に貢献した」と述べている。 また、5G(第5世代移動通信)スマートフォン市場も好調で、生産台数は2020年の2億5000万台に対し、2021年には5億5500万台と2倍以上に増加した。Norwood氏は、「米国のHuaweiへの制裁によって他の中国スマホメーカーがシェアを伸ばし、Qualcomm、MediaTek、Skyworksなどの5Gチップセットベンダーの成長を促した」と説明している。一方で、Huaweiのチップ子会社HiSiliconは、2020年の82億米ドルから2021年には10億米ドル程度にまで収益が減少した。
メモリ好調でSamsungが大きく成長
デバイスカテゴリー別にみると、メモリが最も好調で、2021年の売上高は前年比421億米ドル増の成長を見せたという。これは2021年における世界半導体市場全体の売上高成長分の33.8%に相当するという。同社は、成長の主な要因として、リモートでの勤務や授業およびエンターテインメントの需要増に応じたハイパースケールクラウドプロバイダーのサーバ展開の拡大、PC/ウルトラモバイルのエンドマーケット需要の急増を挙げている。なお、メモリの中ではDRAMが最も好調で、2021年の売上高は925億米ドル増加、成長率は40.4%となった。同社は、「サーバやPCの旺盛な需要によりDRAMの供給不足が生じ、年間を通じて2桁のASPを記録した」と説明している。 こうした結果、2021年の半導体メーカー別売上高ランキングは、Samsung Electronicsが前年比31.6%増の759億米ドルで、2018年以来初めてIntelから首位を奪還した。Samsungのメモリ売上高は2021年、前年比34.2%増の成長を見せたという。2位に転落したIntelの売上高は前年比0.5%増の731億米ドルだったが、「上位25社のベンダーの中で最も低い成長率だった」(Gartner)という。 トップ10には、今回新たに前年14位だったAMDが前年比64.4%増の成長を見せてランクイン。一方で、2020年に9位だったキオクシアがトップ10から転落、日本企業が姿を消す形となった。【訂正:2022年1月20日18時38分 初出時、5Gスマートフォン市場に関し、「生産規模は2020年の2億5000万米ドルに対し、2021年には5億5500万米ドル」としていましたが、Gartnerのプレスリリースに誤りがあり、正しくは「生産台数は2020年の2億5000万台に対し、2021年には5億5500万台」でしたので、訂正いたしました。】
EE Times Japan